ニュージーランド移住と資産承継

ニュージーランドへ移住すると、住む場所や子どもの教育だけでなく、将来的な資産承継についても考える必要があります。
特に日本に不動産や金融資産を残したままNZへ移住する場合、資産が日本とNZの複数の国に分かれることになります。
そのため、移住前から、
- 日本にある不動産や金融資産
- NZで購入する住宅や不動産
- 銀行口座や投資資産
- 配偶者や子どもへの資産承継
- 遺言などの相続対策
といった資産全体を整理しておくことが重要です。
NZで生活する家族の場合、「どこに住むか」だけではなく「家族の資産を将来どう引き継ぐか」まで含めて移住を考えることが大切です。
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ニュージーランドの相続税はどうなっている?
ニュージーランドには現在、相続税(Inheritance Tax)はありません。また、遺産税も廃止されています。
そのため、NZで資産を持っているからといって、相続が発生した際に日本と同じような相続税がNZで課されるわけではありません。
ただし、これは「相続に関する税金を一切考えなくていい」という意味ではありません。
例えば、NZの不動産を相続した後に売却する場合など、資産の取得後の取引については税務上の扱いが発生する可能性があります。NZのIRDも、相続した不動産そのものには通常税金はかからない一方、売却時には状況によって課税される場合があると説明しています。
日本にも資産を残してNZへ移住する場合は、NZだけでなく日本側の相続・税務も含めて考える必要があります。
高額な資産を持つ場合は、移住前にNZと日本の双方に詳しい専門家へ相談しておくと安心です。
永住権や投資家ビザを持っていると相続税はかかる?
ニュージーランドでは、永住権や投資家ビザを持っているかどうかだけで、相続税の扱いが決まるわけではありません。
重要なのは、移民法上のステータスとNZの税務上の居住者(tax resident)を分けて考えることです。ニュージーランド税務当局(IRD)も、移民ステータスと税務上の居住者資格は別のものと明確に説明しています。
たとえばNZでは、任意の12か月間に183日を超えて滞在したり、「permanent place of abode(恒久的な居住場所)」がある場合などに、原則としてNZの税務上の居住者となります。
永住権と投資家ビザの違い
| ステータス | 相続税との関係 |
|---|---|
| NZ永住権 | 永住権を持っているだけで相続税が発生するわけではない |
| Active Investor Plus Visa | 投資家向けのResident Visa。ビザそのものが相続税を決めるわけではない |
| NZの税務上の居住者 | 税務上の重要な判断基準になる |
| 日本に資産を残してNZへ移住 | 日本側の相続税についても別途確認が必要 |
現在のActive Investor Plus Visaは、NZ$500万(約4億5,000万円)以上のGrowthカテゴリー、またはNZ$1,000万(約9憶円)以上のBalancedカテゴリーへの投資を条件とするResident Visaです。一定の条件を満たせば、Growthでは3年、Balancedでは5年後にPermanent Resident Visaを申請できます。
つまり、
「投資家ビザだから相続税がかかる」
「永住権を取ったから相続税がかかる」
という単純な仕組みではありません。
また、NZでは現在、一般的な意味での相続税はありません。たとえばNZの不動産を相続した場合、相続した時点では通常、税金はかかりません。ただし、その後に売却する場合などは、状況によって所得税の対象になることがあります。
NZ移住で特に注意したいのは「日本に残した資産」
NZに移住しても、日本国内の不動産・金融資産などが残るケースは珍しくありません。
その場合、
- NZの税務上の居住者になった後の資産管理
- 日本にある不動産や金融資産
- 日本側の相続税
- NZ側での資産の取得・売却
- 配偶者や子どもへの資産承継
などを分けて考える必要があります。
ビザの種類だけで判断せず、日本とNZの両方を踏まえて資産承継を設計することが重要です。
日本に資産を残してNZへ移住する場合
NZへ移住しても、日本に不動産や預金、株式などを残して生活するケースはあります。
その場合は、NZでの税務上の居住者としての扱いだけでなく、日本側の相続税についても確認する必要があります。
特に資産が大きい場合は、次のように資産を整理しておくと分かりやすくなります。
| 資産 | 所在地 | 移住後に確認したいこと |
|---|---|---|
| 自宅・別荘 | 日本 | 相続・売却時の税務 |
| 預金 | 日本 | 相続時の扱い |
| 株式・投資信託 | 日本 | 保有・売却・相続時の税務 |
| 住宅 | NZ | NZでの相続・売却時の扱い |
| 預金・投資資産 | NZ | NZでの資産承継 |
日本とNZの両方に資産がある場合、どちらか一方の制度だけを見て判断することはできません。
また、相続税は「資産をどこに置いているか」だけでなく、相続する人・亡くなった人の居住状況や国籍、資産の種類などによっても扱いが変わります。
そのため、NZへの移住を決めた段階で、現在の資産状況を整理して専門家に確認しておくことが重要です。
ニュージーランドで遺言を作る
ニュージーランドでは、遺言(Will)を作成して、自分の財産を誰に引き継ぐかを指定できます。
遺言がないまま亡くなった場合は、本人が決めた配分ではなく、NZの法律に基づいて遺産が分配されることになります。
NZで資産を持つ家族の場合、遺言には例えば次のような財産を含めて整理できます。
- NZの住宅や不動産
- NZの銀行預金
- 投資資産
- 車などの財産
- その他の個人資産
また、子どもがいる家庭では、財産の承継だけでなく、子どもの養育についても遺言で希望を示すことができます。
日本にも不動産や金融資産がある場合は、NZ側の遺言だけですべての資産を処理できるとは限りません。日本とNZの双方に資産がある家庭では、それぞれの資産についてどのように承継するかを整理しておく必要があります。
NZの信託(Trust)を利用した資産承継
ニュージーランドでは、家族の資産を管理・承継する方法として「Family Trust(ファミリー・トラスト)」が利用されてきました。
Family Trustでは、資産をTrustに移し、受託者(Trustee)がその資産を管理します。家族などを受益者(Beneficiary)として指定し、Trustの条件に従って資産や利益を分配する仕組みです。
例えば、NZの住宅や投資資産をFamily Trustで保有することで、本人が直接所有する場合とは異なる形で家族の資産を管理できます。
ただし、Family Trustを作れば相続税がなくなる、資産が自動的に子どもへ移る、といった単純な制度ではありません。
NZではFamily Trustに関する税制や報告義務もあり、2024年4月1日以降はTrustの税率や情報開示に関するルールも変更されています。
富裕層の資産承継では、単純に個人名義で資産を持つ方法だけでなく、Family Trustなどを利用して資産を管理する方法も存在します。
Family Trustを使う場合の税金
Family Trustは資産承継の仕組みとして利用できますが、「Trustに入れれば税金がかからない」という制度ではありません。
特に現在のNZでは、Trustが得た所得のうち、Trustに残す「trustee income」について、年間の所得がNZ$10,000(約90万円)を超える場合は39%の税率が適用されます。NZ$10,000以下の場合は33%です。
| Trustの所得 | trustee incomeの税率 |
|---|---|
| NZ$10,000以下 | 33% |
| NZ$10,000超 | 39% |
例えば、Family TrustがNZ$100,000(約900万円)の課税対象所得を得て、その所得がTrustに残る場合、単純化するとNZ$39,000(約350万円)が税額の目安になります。
一方、Trustの所得を受益者(Beneficiary)へ分配した場合は、受益者側の所得として扱われる場合があります。Trustの所得がどのように課税されるかは、Trustの構造や分配方法によって変わります。
つまり、Family Trustは「相続税をなくすための仕組み」ではなく、家族の資産を誰が管理し、誰を受益者とするのかを設計するための仕組みとして考えるほうが分かりやすいです。
NZの移住先については【ニュージーランド移住】富裕層家族が住むならどこ?教育・自然・利便性から住宅地を選ぶで説明しています。
まとめ
ニュージーランドには現在、一般的な相続税はありません。ただし、相続税がないことと、資産承継に関する税務がすべてなくなることは別です。
また、永住権や投資家ビザを持っていることだけで税務上の扱いが決まるわけではなく、NZの税務上の居住者に該当するかどうかも重要になります。
日本とNZの両方に資産を持つ場合は、日本側の相続税やNZ側の税制も含めて考える必要があります。
NZでは、遺言による資産承継やFamily Trustを利用した資産管理など、家族の状況に合わせた方法があります。
特に大きな資産を持ってNZへ移住する場合は、移住前から資産の保有状況や承継方法を整理しておくことで、将来の家族への資産移転を考えやすくなります。
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